日銀がETFを購入(メリット・デメリット)

お世話になります、熊日の小出です。今回は7/30日経社説から「日銀ETF購入」について解説します。

概要

まず、日銀がETFを購入するという事は、ざっくりいうと日本全体の株を日銀が買うという事です。元々09年のリーマンショックで日本全体の株価が下がり、株価を上げる目的(下支え)で2010年12月に日銀が購入を開始し今年で10年目を迎えました。

開始時は、4500億円だった買い入れ額ですが、年々増加し現在はコロナによる株価暴落を抑える為、年12兆円になりました。ニッセイ基礎研究所によると、6月末の保有額は37.7兆円となり、市場全体の6.3%に相当します。9月ごろには年金積立金管理運用独立法人(GPIF)を抜き、世界最大の日本株の保有者になる見通しです。

つまり、株価が下がる→日銀が株を買う→株価が上がる→また株価が下がる→さらに日銀が株を買うという循環が10年間続き、日銀が日本企業の大株主になる日が近いという事ですね。

メリット・デメリット

◎メリット

どのようなメリットがあるかについてですが、日銀が株を買っている安心感から投資家や企業側の心理を支え株価の下落を防ぐ役割があります。

株価が安定する事で企業側は資金調達をしやすく、お金がぐるぐる回るようになり景気が上向く可能性があります(現実はさておき)。

また、株価が高いと敵対的なM&A(買収・合併)の標的になりにくく、裏返せば、株価が高い企業は自社株との交換で魅力的な企業に戦略的なM&Aをしやすくなります(ドラマ半沢直樹でやっているような事)。

従業員、役員のストック・オプション(自社株を一定の価格で購入する権利)制度を導入している会社では、株高が従業員、役員のヤル気とモラル(規律)を高める原動力ともなります。

つまり日銀がETFを購入することは日本経済を支えている事にもなります。

◎デメリット

メリットだけ見ると、一見いい事ばかりですが、デメリットも多いです。日銀がETFを購入している株は日本全体なので、企業の業績(景気の良し悪し)に関わらず株価が上がりやすくなり、成長企業を選んで投資しお金を流すといった市場の大事な機能が失われる可能性があります。

つまり企業側からすると「日銀がうちの株をガンガン買ってくれている、株価が下がる心配もないので適当に経営しても大丈夫だろう」といった怠慢を招き企業の成長が失われる事となり、株価と実際の経済がかけ離れます。

また、国債や社債と違いETFには償還(債務を返済する事)がないためいずれは外部に売却する必要があります。ただ買い手がいない状況で売ると株価が大きく下がります。現在の日本株市場には日銀以外大きな買い手がいない為いつまでたっても売れない状態になっています。

個人的まとめ

個人的な意見です(正しいかはさておき)

政権目線で見ると株価と政権支持率は相関関係にあり、なんとしても株の暴落は避けたいのが本音でしょう。なので今後も政府と日銀がタッグを組み?株を買い続けると思います。しかしそれによりメリットを受けるのは株を保有している投資家であり一般市民にはお金が回っこないのが現状のようです。

言いかえると、普通の人がメリットを受けるには投資家になるしかないという事になります。投資に関する流れも最近は変わってきており、少額から投資をはじめられるつみたてNISAを活用する人も増えています。また2022年からは高校の家庭科で「投資信託」に関する授業も開始されるようです。

2022年度から始まる高校の新学習指導要領は、家計管理などを教える家庭科の授業で「資産形成」の視点に触れるよう規定した。家庭科の先生が裁縫や調理実習に加え、株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を教えることになる。教育現場では戸惑いも広がるなか、金融庁は「出張授業」や教材づくり、先生を対象にした投資イベントなどを通じて準備を後押ししていく。これまで家庭科でのお金に関する授業は「無駄づかいしない」「だまされない」など消費者目線の内容に偏りがちだったが、新しい学習指導要領は将来に備えた資産形成の重要性にも踏み込んだ。金融サービスを利用する側の「投資家目線」からみた主な金融商品のメリットやデメリットのほか、生涯のライフプランやリスク管理についても言及することになる。

2019.11.12 日経から

こういった流れで資産形成をやる人が増えると、日銀依存の株式市場から投資家中心となり市場の安定化にもつながるのではないでしょうか?