新型コロナワクチンの期待と課題

引用元:12/10付け日経朝刊

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるカギとなる予防ワクチン。米大手ファイザー製が英国で緊急使用の承認を受け、接種が始まった。米国でも近く接種が始める見通しで、コロナワクチンは実用段階に入った。通常は10年近くかかる開発期間が大幅に短縮され、有効性や安全性について不明な点も多い。関連記事「ワクチン賠償 国が責任」

今後日本にいつ届き、どうやって接種できるようになるか。開発中のワクチンの動きや、予防効果の安全性などの課題を見る。

ワクチンいつ日本に?

ポイント👇

  • 来年6月まで全国民分の確保を目指す
  • 米、英の3社でワクチンを供給する
  • 希望者は無料で接種できる
  • 医療従事者や高齢者、持病がある人を優先

ワクチンは日本にいつとどくのか。日本政府と主な海外との契約を見てみる。日本政府は1人当たり2回の接種を想定し、ファイザーとは21年6月までに6000万人分(1億2000万回分)、モデルナとは同年6月までに2000万人分(4000万回分)の供給でそれぞれ合意している。RNAワクチンはセ氏マイナス20~70度での保管が必要で、日本には低温輸送で運ばれる方向だ。ワクチンは期日までに日本に届く見込みで、実際の接種はそれから始める予定だ。

日本でワクチンを使えるようにするには、ファイザーやモデルナ側が厚生労働省にワクチンの有効性や安全性を示す治験のデータを提出し、製造販売の承認を受ける必要がある。モデルなのワクチンは武田薬品工業が国内での治験や流通を請け負う。

一方、日本政府はウイルスベータワクチンを開発する英アストラゼネカと21年初めから6000万人分(1億2000万回分)の供給を受ける事で合意。そのうち1500万人分(3000万回分)を3月までに調達する計画だ。同社製のワクチンは通常の冷蔵庫で保管できるため、供給しやすいという利点がある。同社はワクチン原液の製造などで関西の中堅製薬JCRファーマなどと提携している。

日本にワクチンが届いた場合、日本国民に接種されるまでの流れを見てみる。日本政府は21年前半までに全国民分の確保をめざしている。ファイザーのほか、モデルナとアストラゼネカ製も実用化され、日本への供給が順調に進めば全国民分は確保できる見通し。

接種を希望する人は全員無料で、重症化リスクの高い高齢者や持病のある人、医療従事者らを優先する考えだ。自治体が住民に接種券を個別に届け、接種を案内することが想定されている。

ワクチンの課題

ポイント👇

  • ワクチンは低温保管が必要
  • 予防効果が続くのか分からない
  • 安全性、慎重な対応不可欠

ワクチン接種に向けて、課題の一つとされているのがワクチンの保管と物流だ。ファイザーやモデルナ製はセ氏マイナス20~70度で保管しなければならず、大量の保冷ボックスや保冷庫が必要になる。厚労省は保冷庫を3000個確保するなど準備を進めている。

厳格に温度管理したワクチンの物流網の整備も課題だ。運搬されたワクチンについては、低温で保管する設備がない病院やクリニックの接種は難しいとの指摘もある。

予防効果の持続も課題だ。ファイザーは最終治験で予防効果が95%に達したと発表したが、効果の持続期間は接種から1~2週間程度しか確認されておらず、長時間持続するかはあきらかになっていない。効果が短いようなら1年間に何度も接種する必要もある。

ワクチンの接種で、思わぬ健康被害をもたらす副作用も心配される。ファーザーやモデルナはこれまでの治験で頭痛や発熱、筋肉痛、倦怠(けんたい)感などを起こした人がいるとしている。安全上問題になりような事例は報告されてないという。仏調査会社がオンラインで実施した世論調査では、「副作用が心配」などとして米国民の4割が接種しないと回答した。

日本政府は健康被害は生じた場合の救済措置を設けた。医療費の自己負担分や入院通院に必要な経費を公費で支給することなどが想定されている。今後、接種を受けた人が増えると新たな副作用が起きる恐れもあり、安全性については慎重な対応が必要だ。

まとめ

新型コロナのワクチンは来年6月ごろまでに国民全員分の確保ができる見通しです。接種自体は無料で受ける事ができます。まずは優先度の高い、医療従事者や高齢者に接種を行いそれから希望者に受けてもらうという流れのようです。

ただ、ワクチンの予防効果の持続性や保管管理の難かしさなどの課題も多くあります。また国家間によってワクチンの確保にも差が出ています。日本や米国などの先進国はほぼ全人口分を確保していますが、新興国のインドやブラジルなどは全人口の3割に満たない分しかなく格差が広がる可能性があるとの分析も出ています。

来年は東京オリンピックもあり、日本は必死にワクチン確保に努めていますが訪日客や選手に対してどのように対応するのかといった課題にも向き合う必要性があります。